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星へ落ちる 金原ひとみ

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あんまり自慢にはなりませんが何気なく著者の作品はすべて読んでいる気がします。

いつも書きなぐったような文章が印象的です。
最後になると支離滅裂になります。
エネルギー切れになるのでしょう。

この人の描く女の子の主人公は、いつも愛されたい願望が強すぎます。
だから自分が相手のことをどう想うかよりも、自分が相手にどのように思われているかのほうが気になってしまい、神経をすり減らし、ふらふらになってしまい、そして他人に嫌われることを極度に恐れるあまり、被害妄想が激しくなっていく。つまり病的なほど自意識過剰でありながら、自己評価が低く、それを紛らわすためにお酒を飲んだり、自分の体を傷つけるような破壊衝動が見られたり、特に拒食症になってしまう描写はリアルティがあります。


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拒食症や編集者との新婚生活の描写は彼女の作品によく出てきますが実体験がベースに描かれているものと思われます。じっさいに読者にそう思わせています。これをオートフィクション(自伝的だけれどフィクション)といいます。











基本的に純小説というのは、作者自身を主人公に投影させたものであると私は思っています。そこでいちおう彼女の愛読者である私がこの金原ひとみの分析をしてみます。彼女は自ら不幸を吸い寄せている。しかし柳美里のような破滅願望を持った不幸フェチとは少し違う感じで、過剰な自意識を抱え込んだ気性の激しい女の子で、無意識のうちに不幸を吸い寄せているという感じです。だけどこの「不幸」こそ芥川賞作家の原動力だと思います。


私は彼女の闇度に共鳴します。