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「金閣寺」 三島由紀夫

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この小説には2人の障害を持った男が登場します
強く印象に残るのは、内翻足(両脚の奇形)の障害を持った柏木という男でした。
彼には恋人がいましたが、こんなことを言っています。


「彼女は俺の内翻足を愛しているのだ」


同じく吃音の障害をもった主人公に対しても


「吃れ。女はお前の吃りに惚れるかもしれないんだ」


とけしかける。
障害というコンプレックスを持ったことによって
強烈な自意識過剰となっている。
愛することよりも、愛されることばかり考えている。 
ひとことで、自意識、といいますが、その解釈はなにやら色々あると思うので
ここではもっと具体的に説明します。 

自意識=他人からどのように自分が見られているのか意識すること

だと定義します。 

たとえば、高校生が寝癖のはねた髪の毛が気になって仕方ないことは
自意識過剰だと言われます。

大小の差はあれ、誰もがこの自意識に苦しみ
時には自殺に至ることすらあります。

三島由紀夫はこれほど自意識の障害を理解していながら
なぜ自意識によって滅ぼされたのでしょうか。

彼の将来を案じさせる「憂国」という小説は
割腹自殺の美しさにこだわっています。
その美しい死にかたは、他人を意識したものでした。