カテゴリ:浅田次郎(8)( 8 )

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長編かと思ったらシリーズものでした。今回も主役は3人。自衛官、ヤクザ、官僚という3人です。その主役の1人の自衛官が9条堅持で自決しようとするところが泣くほど笑いました。三島由紀夫の最後をパロディにしたものですがちょっと不謹慎かも?でも面白すぎます。自分のはいているパンツの柄が気になって死ぬに死ねないという自意識過剰ぶりが本当にあほらしい。頭のなかをからっぽにして笑える作品です。初期の作品なので少し文章が荒い感じがしますがやはり尋常ではない才能を感じさせてくれます。
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ヤクザたちによって経営されている会社、それがプリズンホテル。

そこはどんないわくつきの人間であっても、来るものを拒まないホテルである。
ヤクザなだけに「暴力団お断り」という立て看板で何度も社会から拒否されたことがあるからこそ、どんな人間も拒まないホテルが生まれた。こころの痛みを持てば、ヤクザであろうが優しくなれるということか。そうなってくると、そのホテルで働く者たちも世間からのはみ出し者ばかりが集まってくる。名門ホテルでその頑固さゆえに経営陣から嫌われて地方ホテルをたらい回されていた花沢。彼がプリズンホテルの支配人だ。料理長も筋金入りの頑固者で、やはりみんな世渡りが下手なため世間のはみだしものである。しかし自分の職業に誇りを持っている。

こういった堅気者とヤクザ者の融合したプリズンホテルはもうそれだけでネタの宝庫だ。浅田氏がそのネタを巧みにさばいて我々読者を嫌というほど笑わせてくれる。ホテルの伝言板には「不慮のがざいれの際には当館係員の指示に従って下さい」「客室のドアは鉄板、窓には防弾ガラスを使用しておりますので、安心してお休み下さい」など、ヤクザホテル独特のユーモア溢れる雰囲気が伝わってくる。こういうホテルに泊まりにくるお客とは、極道小説を書いている小説家や一家心中しようとしている家族、または実際に心中してしまった幽霊など。来るものを拒まずがモットーのホテルであるがゆえにやばいお客がぞろぞろ集まってくる。いわゆるプリズンなお客である。本作はヤクザの優しさと哀愁が漂ってくる不思議な作品であり浅田次郎の最高傑作だと言っても言い過ぎじゃない。そういうわけで、この本を読むことによって、プリズンホテルに1泊してみてはいかがでしょうか。
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真夏の夜にふさわしいホラー小説です。怖いけど美しい。そして切ない。あいかわらず読者を泣かせようとする作者の魂胆はみえみえなのですが、やはり巧いと思う。ストーリーは映画好きの主人公の友人が、映画の撮影所で女優の霊と出会い恋に落ちるという話です。その女優がなぜ死に、そしてなぜ霊になったかを探っていく話。意外とこわい。作者の映画に対する想いも伝わってきます。ふつうにかわいい子が、女優を目指すことで、さらに美しくならなければ人間失格のような烙印を押されてしまうのが哀れです

ちなみに
活動写真というは、「映画」という意味です。
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泣かせの次郎と言われるだけあって、今回も泣かされた読者は多いと想像します。


主役は3人。過労死した椿山課長、銃殺された武田組長、交通事故で死んだ小学生の男の子。それぞれ死者が主役です。彼らが姿を変えて現世に舞い戻るという浅田作品ならではのファンタジックな物語になっている。これは長編というよりは、3人の物語がそれぞれ短編になっており、それを1つにまとめたような小説です。3人のなかで武田組長の物語が一番面白い。ヤクザがらみの話は「プリズンホテル」からも分かるように浅田氏の本領発揮といえる分野です。そういうわけで安心して爆笑することができる。特に、都合が悪くなるとすぐ気絶するヤクザが私のツボでした。課長の物語については、この課長をずっと愛していた女性がいたという内容。「男を影からずっと愛してくれる女」というテーマも浅田作品では非常に多い。これは浅田氏本人のツボなのでしょう。存分に笑ってそして泣いてください。浅田作品屈指の名作です。
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直木賞を受賞し100万部を突破した小説です。
私が作者を知ったのもこの作品がきっかけでした。
はじめて読んだときは驚いたものです。
いきなり死んだはずの人間が目の前に現れたりするのです。
最初は強い違和感を感じましたが、今ではこの作者がこういう超常現象を得意とする作家だと分かっているので慣れました。


浅田作品は死んだ人間が生き返ることは当然であると思っておいたほうが良いですね。


この小説のテーマは「真面目に生きてきた人間が晩年に神様からごほうびを貰う」というものだとおもいます。ちょっと似ているもので、テリー・ケイの「白い犬とワルツを」という小説があります。こちらは少し読みにくかったですが、言っていることは同じでした。

人生は理不尽だと思って生きていくよりは、真面目に誠実に生きていればきっと最後に帳尻をあわすように何か良いことがあると思っていたほうが希望が持てていい。こういう前向きな話は好きです。しかしハイレベルな浅田作品のなかでは本作はレベルはあまり高くないと思う。
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短編とエッセイが含まれた本だったと思う。 
浅田いわく・・人を泣かせるのは才能などではない。
どんな辛い思いをしたのか。
どんな涙を流したかを記憶していれば泣かせるのは簡単。
そして、涙を知れば知るほど笑いは深い。 


「待つ女」は、幻想的な物語でした。

この短編は、浅田文学の1つの到達点なのかもしれません。 

浅田次郎の小説に登場する女性は
1人の男を想い、ずっと待ち続けるシュチエーションのものが多い。

待ち続ける女性が浅田次郎の好みなのか? 
エッセイの内容は忘れましたが
彼の描く女性には共通した何かがあることは確かだと思う。 
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豪華客船「弥勒丸」が撃沈された謎を
延々とひっぱり続けますが、風呂敷を広げすぎたな、という印象が強い。

本作は、阿波丸事件という実話をヒントに小説にしたそうです。

国際法で安全を保証されていたはずの弥勒丸が
民間人2000人を乗せて、なぜ沈没させられたのか?
いったい誰がなんのために沈没させたのか?
と訴えかけている、ミステリー色が強いです。

でもオチは期待しないほうがいいです。
あまりにもスケールが大きい物語になっていて
作者自身がそれをコントロールできなかった印象を受けます。
それにストーリーにこだわりすぎて、登場人物の描写が少し薄っぺらい気がしました。
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どういう雰囲気の小説か知りたい人はここで音楽が聞けます →→チェック


人生からドロップアウトした人間たちが霧笛荘へと導かれるようにやってきます。
その住人1人1人の人生を短編形式で描いています。 

霧笛荘というのは、ようするに人が人生に絶望して死ぬために訪れた最後の場所─。
運河のほとりにあるこのアパートの描写は非常に神秘的で光景が目に浮かんでくるほど秀逸でした。
浅田次郎の小説のなかでも特に緻密な作品ではないでしょうか。

どうしてこんな獅子舞のような顔をした男の人が
これほど繊細で切ない小説を創作できるのか不思議ですね。
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