カテゴリ:江國香織( 1 )

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アル中の妻とホモの夫という設定。妻は笑子。 

うーん、なんとく鬱っぽい笑子をみていると、映画「めぐりあう時間たち」や「ベティーブルー」を思い出してしまう。(ベティーほどハードじゃないけど) 2つの映画に共通しているのは、いっぱい愛されているのに満足できない主婦(女性)ということだと考えます。

笑子はべつに交通事故で一生車イスの生活をしているわけでもないし、夫に暴力を受けてDVになっているわけでもないし、会社で上司からセクハラを受けているわけではないのですが、どうしてもちょっとしたことで精神が不安定になってしまう。むしろやさしい夫から強く愛されているにもかかわらず(ホモだけど)、鬱状態に陥ってしまう。彼女が特別よわい人間だというわけではなくて、人間はなんの不幸もなければ逆にこうなってしまうのかもしれないと考えます。 

専業主婦が飛びつきそうなテーマの小説ですね。江國さんの本領発揮の作品だと思います。人間は衣食住に満ち足りた生活をしていても、そういう生活が長く続けばそれが当たり前だとおもって満足できなくなる。むしろ貧乏生活で明日の食べるお米もないという戦後の暮らしのときのほうが、逆に生きる喜びはあったかと思います。春の素晴らしさは冬を経験してはじめて実感できるのと一緒。大恋愛に障害はつきもの。そんなことを考えながら読んでいました。
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by _hanako311 | 2007-04-26 22:09 | 江國香織