カテゴリ:小川洋子(4)( 4 )

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弟がガンになって食べ物がだんだん食べられなくなって、食べてもすぐに吐いてしまうようになって、最後に衰弱しきって死んでいく様子を、主人公の姉の視点で描いているので、「面白いから読んでみて」とはやはり言いにくいです。

「完璧な病室」とは、入院している弟の病室のことで、弟を看病する姉がこの病室をいつも清潔に保っている状態を「完璧」という。その姉は小さいころ、母親がうつ病になってしまい、家の整理整頓がまったくできなくなってしまった。そのせいでいつも家は荒れ放題。家の荒れは心の荒れそのもの。姉はうつ病の母親を憎むようになり、荒れた家から早く逃げ出したい気持ちから結婚して家をでた。姉の作り出した完璧な病室はこのときの反動だと思われる。(私の家もある時期から急激に荒れはじめ、その反動でわたしの部屋もやはり「完璧な部屋」になっている)


苦痛を抱える母親から逃げ出した姉が母の死後、今度は同じく苦痛を抱える弟から逃げださずに苦しみを分かち合おうとしている。


人間は自分の苦しみは他人にわかってもらいたいけど、逆に他人の苦痛をわかちあう勇気は、なかなかわかないと思う。 小川洋子という人の作品は一番最初に「博士の愛した数式」を読みましたが、あの作品だけは彼女にとって超異色作だったようです。ふだんはいつもダークな作品が多い。これで彼女が芥川賞を獲った理由がわかりました(苦笑)
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かなり笑える小説です。
主人公のおばあちゃんは、日本人と結婚したロシア人女性でした。

小説のほうは、おばあちゃんの孫にあたる女性の一人称で描かれています。

つまりおばあちゃんは常に外部の視点から描かれているので
彼女の心理描写はまったくない。
だからいろいろな謎が生まれます。 

物語はおばあちゃんの夫が死んで
孫がおばあちゃんをひきとるところから始まります。 

Aの意味は、アナスタシアという意味。
アナスタシアはロシア皇帝の娘の名前です。

アナスタシアはロシアで革命がおこったとき、王家の人たちと一緒に処刑
されたはずでした。しかしあることがきっかけで、主人公のおばあちゃんが
このアナスタシア王女だと噂されるようになります。

ここで面白いのは、おばあちゃん本人が、はっきりとそのことについて
YESともNOとも言わないこと。

遠まわしに「自分はアナスタシアだ」というメッセージをまわりに送っているが
孫はそれはおばあちゃんの願望であり
本当はロシアの王女なんかじゃないと思っている。
しかし噂はどんどん広まりついにTV出演が決まってしまう。
困った孫とその恋人は、おばあちゃんを本物のアナスタシオにしてしまおうと
考えるようになる。著者は穏やかな文章を書くが毒を持っている。

一番存在感があった人物はオハラという動物の剥製マニアの男。
この男はかなり濃い。
おばあちゃんの家の豪華な剥製を虎視眈々と狙っているのだが
いつのまにかアナスタシア騒動のあいだに
おばあちゃんのマネージャーになっていた。

ちなみにおばあちゃんの家は猛獣館と呼ばれ
多くの剥製動物が置かれている。

果たしておばあちゃんの正体はいったい誰なのか?
本物のアナスタシアなのか?

とにかくラストシーンは衝撃的です。
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(以下の文章はネタばれを含みます)

結論からいいますと、この小説はタイトルどおりです。 
物語はある日、ブラフマンがやってきた・・という感じで唐突にはじまる。
主人公はキズを負って弱っていたブラフマンを救います。ブラフマンが何者であるかは最後まで分からない。犬かと思ったがそうではなさそうで、トトロのように架空の動物かもしれないし違うかもしれない。

ブラフマンが何者であるかは読者の想像力にゆだねられている。
この謎の生物の眠り方や食べ方など、こまかく描かれている。その描写は非常に愛らしい。そのせいでブラフマンに素直に感情移入することができる。登場人物は少ない。そのほとんどがブラフマンに好意を持っていない。主人公のみがブラフマンを溺愛している。

最後はそのブラフマンを主人公が殺してしまう。
ショックを受けるというよりも、むしろしらけてしまう。

・・・・
いや、正直に告白すると怒りでいっぱいです。
途中までは面白かったのですが最後の数ページを読んでいるとき・・

なんじゃこりゃ~!!
(松田優作風に)

と、つぶやいていたと思います。
いやはや、驚きました。
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ルートという子供さんが、天使のように描かれていた。
正直な話、ふつうの子供だったら
80分しか記憶が持たない人間など見かけたら、笑い転げるでしょう。
大人と違って子供は、とても明るくて無邪気で、そして残酷・・
そういう一面も持っていると思います。
未完成だから子供だと思うのですがルート君は立派すぎて逆にこわい。

ところで・・
数学と文学とは、まったく正反対だと私は思います。
数学の答えは1つしかありません。

1+1は、絶対に2ですよね? 
こういう考えを絶対的真実と言います。
だけど、文学は人の数だけ答えが存在します。
それを相対的真実と言います。 

小説や映画、美術館の美術品・・
これらは、創り手がなんらかのメッセージを込めて
つくられていると思いますが、極端な話、受け手にとってそれは
知る必要がない。受取るほうは自分がそれを観て感じたことが
すべて真実となります。

数学には間違いが存在します。
しかし文学に間違いは存在しません。


100億人の人がいれば100億の答えが存在します。
文学は芸術そのものであり、人間の感性が豊かになっていく。
だから好きなんです。

ちなみに私は経理マンなので・・・・数字は嫌いです(あれ?)

完全数の話もすごく面白くなかった(苦笑) 
6の約数={1,2,3,6}6以外の約数の和=1+2+3=6 
このような数を「完全数」といい、6が最初の完全数で、2番目の完全数は28ですね。
友愛数は、220の約数(ただし220は除く)の和が284になって、284の約数
(ただし284は除く)の和が220になっている。
220の約数={1,2,4,5,10,11,20,22,44,55,110,220}
1十2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
284の約数={1,2,4,71,142,284}
1+2+4+71+142=220・・・つかれたから、もうやめておきます。 
だけど本文でこんな数式をじっくり読んだ人が本当にいるのか疑問です♪
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