カテゴリ:高村薫(1)( 1 )

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おなじみの合田刑事が主役で、いつものように骨太の文章で、いつものように男くさくて、高村ファンにとっては安心できる作品にはなっていますが、はじめて著者の本を読む読者は面食らうだろうなぁと想像します。

女流作家でありながらハードボイルド。彼女の描く小説は基本的に「男」であり、恋愛よりも男と男の友情が描かれる。(それもけっこう危ない友情かも?) 女性は脇役以下の存在になっていることが多い。それだけに「レディー」と名のつく本作は、めずらしくこのレディー(障害をもった女の子)が主役なのかな?と単純に思ったのですが、彼女は小説の象徴的な存在であり主役ではないようでした。この小説には主役と呼べる人物はいない。警察の視点や犯人の視点や会社の視点でそれぞれ描かれている。
あいかわらず緻密なストーリーになっており、高村さんは刑事から小説家に転職したんじゃないの?と言いたくなってくるほど警察の内部描写が詳細に描かれている。

グリコ森永事件をモデルにして描かれており、なんと犯人は最初から分かってしまいます。そして犯人の視点から物語は進んでいく。ミステリーの女王とよく言われる彼女ですがこれはミステリーなのだろうか?と考えさせられる。

「このミステリーがすごい!」

というキャッチコピーはちょっと違うとおもう。重厚な物語ではありますが、少々詰め込みすぎのような気もします。
総会屋と企業の癒着の話や、被差別部落出身者の差別問題、株価操作の裏事情などまるで経済新聞を読んでいるような気持ちになってしまいます(ニガ笑) 
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by _hanako311 | 2007-03-13 18:45 | 高村薫(1)