カテゴリ:綿矢りさ(3)( 3 )


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モーニング娘たちのあの「騒動」を考えると
恋人ができたり、愛する人との間に子供が生まれたら
「ごめんなさい」
と言わされるアイドルって大変デスネ。

この小説の主役はアイドルです。
反論覚悟で言わせていただくならば
主人公の夕子(アイドル)=綿谷りさ(作者)
だと思います。

作者は若くして芥川賞を受賞し、美人作家として、もてはやされるようになったのだから、ある意味ではアイドル夕子と一緒ではないでしょうか。本作は、芸能人にたいする陰口でよくいわれる「こいつ、もうオシマイだな」「この人はそのうち消えるよ」という言葉をきっかけに作者は書き始めたと言います。

もてはやされて消えていくアイドルに、作者は自分の姿を投影させて描いたのではないでしょうか?作者の自意識の強さが、夕子という人物をつくりあげた。ここで描かれる「芸能界」をそのまま受取るのではなく、綿谷りさの将来に対する不安を表した隠喩だと考えて読めば、さらにこの作品は興味深いものになるはずです。

ラストで作者が主人公の夕子に言わせた言葉が印象的です。
「信頼だけは一度離せば、もう戻ってきません」 夕子が発したこの言葉は、芥川賞を背負っている作者がいつも考えている危機意識のこもった言葉に感じます。たぶん作者自身は自分に対する文学的な評価やアイドル的な評価に戸惑っている。そしていつか、今手に入れている信頼を失うのではないかと恐れている。 そういう不安を「芸能界」というメタファーを通じて表現したかったのではないでしょうか。


・・・・我ながらに勝手な想像だと思いますが、どうぞあしからず。


作者は、この3作目を書くまでに何度か書いた小説を、レベルが低いという理由で自らボツにしています。結局2作目から3作目を書くまでに3年間もかかった様子からも、信頼を失うことへの強い不安を読み取ることができます。 また今回は一人称から三人称に変化したことで、1~2作目のように自分の内面を描く物語から、「まわりの人間から見た自分」というシュチエーションを客観的に描ききっていました。見事です。いずれにせよ、これは正真正銘の純小説でした。
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賢い小学生のガキと登校拒否の女子高生がインターネットを使って風俗嬢になりきって、不特定多数の男たちとチャットして小遣い稼ぎをするという物語。「小学生の男の子が、ネット上で女性になりすましている。しかも風俗嬢を演じている。インターネットならではの斬新的な発想だ」なんて言っている評論家がたまにいますが、そういう人はインターネット初心者でしょうか。男がネット上で女になりすますというのは意外ではありません。太陽は東から昇って西に沈むという事実と同じくらいに日常茶飯事の出来事なのである。 こういうネカマ(女性といつわる男)に騙される男がいるのは構わないにしても、たかがチャットごときにお金を支払う男など、いまどきいないですよ!


関係ないですけど私のことをネット上で男だと思っている人も意外と大勢いる。


実際、私は女かもしれないしゲイかも知れないのに・・

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ドロップアウトした女子高生は著者自身の分身でしょうか。
特にその女の子が地面に大の字になって寝転ぶシーンが好きです。
←(大の字のイメージ図)



このころの少年少女は本当に自意識過剰なんですね。

自分は他人とは違う、特別なんだと思いたいし
常に他人の目を意識してパフォーマンスに似た奇抜なことをやろうとし
しかしけっきょく自分は特別な人間ではないんだということにだんだん気がついて
苦しむ時期なんです。

青春の痛みは自意識そのもの。とても似た映画に「ゴーストワールド」があります。
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金原くんと一緒に芥川賞を受賞。綿谷、金原、島本・・3人とも同学年。

この3人を評して文学3人娘と呼ばれます
 
それにしても図書館でこの本を借りるのに半年以上も待った・・
本当にむかつく。(だったら買えや、と言われそうですが)

ところで、島本くんに足りないのは彼女の精神があまりにも健康的すぎることだと思う。
小説って何かしらのトラウマを持っていないと良いものが書けないと思うのですよねぇ。(思いっきり偏見ですが) 
その点、綿矢くんと、金原くんはそのルックスとは裏腹にかなり心が病んでいます(^^

ちなみにこの小説の出だしの文章がやたらと評価が高い・・・「寂しさは鳴る~」
有名ですね。
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