カテゴリ:山田詠美(5)( 7 )

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「日頃から、肉体の技術をなりわいとする人々に敬意を払って来た」
という作者が、肉体労働を仕事に持っている男性を描いた短編小説。
映画化もされたみたいですし立派な賞を獲ったようです。

6つの短編の主人公は、
鳶職人、
清掃車作業員、
ガソリンスタンド給油作業員、
引越しの作業員、
汚水槽の清掃員、
火葬場の作業員、


山田詠美の好きな男性のタイプは、
頭の良いエリートだったりIT企業の実業家
ではないということは分かります。

基本的に彼女が一番重視しているのは
「精神」よりも「本能」。
男も女も相手の肉体に惹かれあうということは大切だという。

ただし多くの男女は、相手の肉体なんか関係ない。
相手の性格が好きなんだ、と思いたい、思い込みたい。
人間は「本能」を必要以上に低俗だと忌み嫌いますからね


私の好きな短編は清掃員の章。
フランス映画のベティーブルーのような物語で切ないです。
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100%クールぢゃなくて120%


100%の完璧な快楽では、愛という陳腐な言葉が入り込む。
それを打ち消すには、もう20%を必要とする



という意味だそうですね。
じつはこの山田さんの短編集は、根強いファンが多いという噂です。
とくに「唇から蝶」という作品が大人気。毒舌の女の子の唇は青虫でした。(毒舌というのは隠喩で、青虫は本当の青虫という意味)女の子は結婚していて夫のことをボロクソに言うのですが夫はそれでも青虫の唇を持った妻を愛している。いつしか唇の青虫は成長して蝶になります。突飛な物語です。なにかのメタファーになっているようですがいまいちワカラナイ。でもこれは作者の想像力の勝利でしょう。カフカの「変身」に影響を受けているのかもしれません。
とりあえずこの世に生を受けた人間ならば、一度は読んでおくべき作品でしょう
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障害が多いほど恋は燃え上がるもの。ロミオとジュリオットしかり。男はいう。

「心中する前の日の心持ちで、つき合って行かないか?」

死というものが恋愛をする男女の前に横たわっていればそれだけで恋は燃え上がるという意味で男はそういった。本作は完全無欠の恋愛小説。しかし42歳の男女の恋愛。クールでカッコいい大人の恋か?と思ったら大間違い。大人になりきれない子供のような男女が繰り広げるベタベタな恋愛。まるで小学生の低学年のするような恋愛でした。褒めるとすれば無垢な男女の恋愛。貶すとすればバカカップルのままごとです。

山田詠美の4年ぶりの長編?
げ!ペイデイからすでに4年もたったのか?
という驚きのほうが私には大きい。ついこのあいだペイデイを読んだ気がする・・。
もう4年(汗) 

そのあいだに山田詠美も衰えたものだ・・
と言ったら失礼ですか?
でもやっぱり4年のブランクは長すぎる。
とにかく文章がまるでポンちゃん(山田詠美のエッセイ)のようでした。



で、これは長編?


かなり短いようですが?


しかも後半息切れしてますが?


てゆうか作家ともあろうものが


4年も何してました?



エッセイ書いたり芥川賞の選考委員で忙しかった?作家も大御所になってしまうと寂しいものです。
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著者の夫の故郷であるアメリカのサウスキャロライナが舞台となっています。
世界を震撼させた「9.11」のことを、部外者の日本人作家が描く?

と思いましたが、あまり「9・11」とは関係ありませんでした(^^ むしろ本作は、母親が9・11で亡くなったことをきっかけに、その子供たちが現実を受け入れて成長していくことに重点が置かれていたように思います。例によって山田詠美文学には欠かせない愛すべきアルコール中毒男が描かれており、彼を取り巻く家族の視線はいつものように非常にあたたかい。まさに山田ワールド全開の100%です。 ちなみに9・11を描いた映画はハリウッドには大変多いですがその大半が喪失がテーマになっている。「ペイデイ」に関していえば、これは喪失ではなくて再生の物語になっていました。ちなみにペイデイは「給料日」という意味ですね。これもあんまり深い意味はありませんでしたが(笑)


詠美さんの小説はいつも、うただひかるが歌うメロディーのように切ないです。
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山田詠美は、日本人女性と黒人男性の恋愛を描くことが多いですが、
本作はその代表的な長編小説です。

彼女の夫も黒人です。
そういう詠美に対して「黒人好きの女だから嫌いだ」と、
拒否反応を持つ人のヤジがよく聞えてくる。

そういうアンチに対して、詠美は・・・・


私は黒人好きじゃない!

男好きなんだ!


と反論する。

本作は、山田詠美が昔付き合っていた黒人男性が
モデルになっていると言われています。

基本的に詠美の小説に登場する黒人男性の特徴は
「アルコール中毒」というのが多い。
詠美はそういう男を、否定せずに、いつもやさしく描いている。
今回もそうでした。 

彼女に芥川賞を与えなかったのは、
ガンジーにノーベル平和賞を与えなかったのと同じくらいに失敗だったと思う。

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この小説の「あなたの高尚な悩み」という章と、
最近話題になっている自殺問題について感想を述べます。


トラウマを持っている人間の苦しみ、
人から愛されない者の孤独、
借金を抱えている人間の苦しみ、
それぞれ、いろんな苦しみを抱えている人たちはいます。

しかしもしこれが戦争中で、銃弾が飛び交うなかを走り回っている最中ならば、
誰からも愛されないので寂しい、だとか、トラウマがあるから
生きるのが苦しいとか、言っている暇はないはずです。

そういう場合は他人を蹴落としてでも必死で生き延びようとすると思う。

現代の若者たちは自分の存在意義について真剣に悩んでいるものが
多いかもしれない。

しかし・・・
そんな若者を強制的に北朝鮮に連れて行き、
貧しい北朝鮮の人たちと一緒に飲まず食わずの生活をさせれば
「自分探し」などやっている暇などないはずである。


ボロボロの服装を身にまとい、ヘアスタイルなど気にする余裕すらない・・
しかしそんな生活をしていても・・いやそんな生活をしているからこそ、
今日の食べる食料があるだけでも嬉しくなったり、
明日も生きられるだけで感謝したい気持ちになってくる。

人間をふくめたすべての動物は、生命の危機が訪れれば
死にたくないという本能が自然と働く。
死と隣りあわせで生きていればそれだけ「生」に対する喜びは大きい。 

しかし現代のように生きることが当たり前になって、
さらに食べることすら当然の世の中になれば、
次は愛が欲しい、
お金が欲しい、名誉が欲しい、
愛されたい、孤独は嫌だ
という悩みが生まれてくる。

なんて高尚な悩みなのでしょうか!


私たちはその高尚な悩みが満たされないとそれだけで自殺してしまう。

え?人間だから当たり前?
いや、違います。人間はもっと動物的であるべきだと思う。
こころで人を愛するのが人間だ、なんて冗談じゃありません・・・
というのが、山田詠美の「人間は本能を隠すべきではない」という持論だと思う。
しかしもはや人間は、低俗だと忌み嫌う本能すら希薄になってきている。

私にもいろいろ悩みはある。

そのせいでいつかは鬱になって自殺するかもしれない。
だって日本では1日で100人前後の人が自殺しているし、
しかも自殺未遂者はもっと多いのだ。私だけ例外とは思えない。

極端なことをいえば・・・・

もし私が絶望して死にたくなったらイラクに行こう。


そうなると殺されるかもしれない。これは賭けです。
生を実感できないものは、自ら死と向き合わなくてはいつかは自分に殺されるのです。
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たしか内容は10歳の女の子が犬に噛まれて、狂犬病になり、六ヶ月の人生しかないと思い込んだ話だったかと思います。
「噛まれた犬には恨みは無い」・・・と、女の子は、犬の名誉のためにもこのことは絶対に家族に話さないと決めて、1人で孤独に死んでいくことを決意します(笑) 


おかしい話ですが、子供のころは「死」というものに対して、誰もが病的なほどに怯える時期ではないでしょうか。

私にもそういう経験がありました・・。


子供のころ、死を覚悟した

ことがあります・・・あれは皮膚に棘が刺さったときです。
私はマジでその棘がいつかは血管の中を通って心臓に突き刺さると思い込んだ・・・。

私は毎日寝るとき、神さまに、「ドラえもんの映画」を観るまでは死なせないでくださいと悲痛な願いを繰り返していたのです・・
(話せば長くなるのでこのへんでやめますが)

子供ってバカですけど、すごく感受性が強くて無知だから不安がたくさんあると思う。
「晩年の子供」は、間違いなく秀逸な短編集です。
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