カテゴリ:夏目漱石(3)( 2 )

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この作品を執筆中に夏目は死去致しました。
ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」のようにこの作品も未完の大作
と言える・・・でしょうか。

おかげで
続明暗、新明暗などの小説が漱石の死後に続出したそうです。

本作は自伝要素の濃い小説です。
というよりも、夏目は常に自分を描いてきた作家だと私は思います。
彼の作品のすべては彼自身に関する出来事がネタになっているように思います。

坊っちゃん、我輩はネコである、道草、などなど。
三四郎はちょっと夏目らしくない作品のような気がしますが
この「明暗」は紛れも無く、夏目らしいのではないでしょうか。

清子
という女性はもちろん夏目の初恋の相手であります

そして叔父
主人公津田(夏目)は叔父からの借金の申し出を断れない

この叔父と津田のやりとりが一番印象に残りました。

家族は支えあって生きていくとはよく言ったものです。
でも・・
私だったら、たとえ親であろうが、お金は貸さないでしょう。
私は薄情なのでしょうか・・
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夫婦仲を描き続けた漱石の核となるのがこの私小説だと思う。 

漱石の謎を解く1冊です
(あえて大げさに・・)

妻が病に倒れたとき
漱石は、彼女のために看病している自分に満足している様子を
客観的な描写で表現しています。

漱石はいつも自分のことを
愛情が乏しい冷たい人間だと思い込んでいたふしがあります。

しかし妻が病気になって
そのことに心を痛めている自分に気がついたとき

「私はそんなに冷血な人間ではない」

と思い、安堵していたようなことを書いています。 

その告白には、悪びれる様子もなければ、偽善も無い
本当に他人事のように客観性を帯びています。

漱石のように深く自己分析しない人は
泣いている自分に、うっとり酔っていることにすら気がつかない。 

生きる、ということは、道草と一緒なのかもしれません。

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