カテゴリ:辻仁成(2)( 2 )

e0065456_21401855.jpg


芥川賞受賞作品。
函館少年刑務所で看守として働いている斉藤の前に、かつての同級生花井が罪をおかし受刑者としてあらわれる。

花井は子供のころ、斉藤を執拗にいじめていた男であった。

子供のころのいじめっ子といじめられっ子が、大人になって立場が逆転したようなイメージがあります。しかし「ショーシャンクの空に」の悪徳看守のように、日本の看守が囚人をもて遊ぶことなどできるわけがない。つまりこれは昔のいじめられっ子が、いじめっ子に対して復讐するという話じゃありません。

花井といういじめっ子は子供のころから頭が良くてリーダー的な存在でした。
大人になってもエリートだったのですがあるきっかけで傷害事件をおこし刑務所にやってきたのでした。このときすでにエリートの花井の輝かしい将来はなくなっていました。看守である斉藤は、囚人の花井を遠くから観察します。斉藤の花井に対する思いのなかには、憎しみがあまりない。落ちぶれた花井に対する同情心もない。

彼の花井に対する思いをひとことで説明するならば・・・・

畏怖

なのではないだろうか。

私なりにこの作品をうまく消化することができました。
[PR]
e0065456_23193899.jpg


自殺願望のある男が描かれている。


主人公は、自分の存在に、なんの価値も見出せなくなって
自殺を実行しようとする。
もし、彼を信じる者、愛してくれる者がいれば
このような自殺は行わないはずである。
        
人間が一番欲しいものは愛情である、これは間違いないと思う。
   
生まれてきたからには誰かに必要とされたい


人間はそれが満たされないと、自ら命を断つことすらある。
しかしそんな事とは無縁に生きている村人と出会い、考えが変わる。

人間が孤独を感じ、存在価値を認めてほしいと考えるのは
当たり前のことですが、周りに人がたくさんいるからです。

つまり・・・

人間は、単純に1人ぼっちになるのが寂しいのではない。
大勢の中で、1人になるのが寂しいのだ。

極論すると、無人島暮らしの生活は、じつは寂しくないのです!
それよりも誰も知らない大都会で1人暮らしするほうが
よっぽど孤独を感じるはずです。

勘違いしないで欲しいのは

私は、無人島で暮らせ、と言っているわけじゃありません・・。

孤独、というのは、人間の弱点じゃなくて、
むしろ大切な財産だ、と言いたいのですね。

さっぱり意味がわからん
と、思った人は、是非この小説を読んでください。
[PR]