カテゴリ:伊坂幸太郎(3)( 4 )

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皮肉な言い方だが表紙だけはいつもセンスがある。売り方を心得ている。
面白くないわけではない。
内閣総理大臣が暗殺され、主人公が濡れ衣を着せられ、逃亡するというお話。殺し屋まで出てくる。とてもスリリングだけども、小説よりも、むしろ漫画にしたほうが面白いのではないだろうか?活字にする意味が見出せない。それから映画好きの人なら分かると思うが、この小説の伏線の張り方などは、ハリウッドの娯楽作品とほとんど同じ手法を用いている。

「逃げる」という1点にポイントを絞っているのはいいと思う。
どうせ助かるんだろうな、と思いながら読んでいたけど。
それから、こういう逃亡劇を描く上で一番大切なのはスピードだと思う。
そのスピード感が足りないと思う。


もし私が編集者だったら、ぐだぐだやっているところを、100ページぐらい、ばっさりと削ってしまう。伊坂幸太郎の小説にダメだしをしたらさぞかし気持ちいいだろう。


なんにせよ、この作品はいつもと同様に、ジャニーズ事務所のタレントを起用して、映画化されると思われる。TVで活躍しているマルチタレントやお笑い芸人を映画に出して、宣伝をじゃんじゃん垂れ流して、そして作り逃げというパターン。別に作者が悪いわけではないが、邦画が芸能界に支配されてしまった現在において、「模倣犯」や「日本沈没」など、原作を踏みにじる酷い映画が続出していることを憂えている。
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世界観が好きです。

外界から誰も足を踏み入れたことのない島
独立国のような雰囲気の村
地図にすらのっていない場所

わくわくします。
まるでドラえもんの映画のようです(^^ ラピュタもそう。誰も行ったことがない場所という設定がすごく好きなんです。ただ、本作に登場する「未知の島」は、キングコングのドクロ島のようにそれほど物騒なところじゃありません。「理由になっていない」といって、簡単に人を殺すやばそうな人間が1人だけいましたが、多くの人たちは愛すべき変人たちでした。 のほほんとした時間の流れに癒されます。 しかし島に住んでいる人間たちは面白いけど、「島」じたいにはそれほど魅力は感じません。いや愛着を感じない。 我々読者に見たことも無い「島」を見せようとするのだから、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のように、地図ぐらいはつくって島の全貌を詳細に見せて欲しかったかも・・。本作はテーマが「かかしがなぜ殺されたのか?」に絞られていました。ていうか、ミステリー小説を読んでいてこんなことを言っては元も子もないのかもしれませんが、私はあんまり犯人探しに興味がないのですね。誰が犯人だっていいじゃん、という思いで読んでいました。実際にこの本を読んで数ヶ月たちましたが誰が犯人だったかもう忘れています(^^ 
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泥棒さんの美学には驚きました。
泥棒さんは空き巣をして盗んだものをメモ用紙に書いて部屋に置いていくそうです。
そうすると盗まれた被害者は、何が盗まれたのかすぐ分かるので安心できる・・。
モノは盗むけど、ちゃんと盗まれた人のために心遣いをしているということがわかって
この泥棒さんはいい人だなぁ・・・・・と、思いません(>_<)!
だって偽善者じゃないですか(苦笑) 
もし自分が空き巣に入られて、盗まれたリスト用紙1枚が
机の上に置いてあったら怒り狂いますね(^^ 

この小説は短編小説の集合体だと思う。

泥棒の短編小説や
リストラされ、四十社連続不採用にあった失業者と野良犬の短編小説
拝金主義者の金持ちの短編、など他にもありますが、
それらの短編が最後につながる。
しかもそれぞれの短編の時間軸を微妙にずらしているところが巧かった。
映画ではこういう手法の物語がたくさんあると思います。

少し前にアカデミーをとった「クラッシュ」もそう。
ラッシュライフも、ようするにクラッシュ(衝突)と同じだと思う。

それは人と人の人生が「交錯」する、という生易しいものではなく
「衝突」するという感じがします。
とくにこの小説のラストシーン・・
拳銃を持った失業者と拝金主義者である金持ちの2人の人生がクラッシュ
した瞬間が強く印象に残りました。

ちなみに私の好きな日本語は・・人事尽くして天命を待つ・・
あれ?中国かな
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本作は、殺し屋がたくさん登場するので、子供っぽい小説かなと思って読んでいました。

印象に残った場面があります。

妻を殺された無職の夫が、人生に絶望していたときに、
子犬たちが、がむしゃらに餌を食べているテレビ番組をみます。
それをみて男は、「生きなくてはいけない」と急に思って、
求人誌を買いにいくシーンがあります。
男いわく「子犬の馬鹿げた生命力」を見ていたら不思議と力がわいてきた、といいます。


馬鹿げた生命力・・

それはつまり人間がいつも必要以上に、忌み嫌う動物的な本能のことだと思う。
淫らな性欲、怠情な睡眠欲、卑しい食欲など。

「おまえ、それじゃ動物と一緒だよ」

と言われたらそれは悪口を言われたと誰もが思うでしょう。 

しかし、生きる原動力というのは、この馬鹿げた生命力だと思う。

男は妻を亡くして生きる目的を失っていた・・。でも生きる目的ってなんだ?

私たちは自分の存在理由や、尊厳がなくては生きられないのか?
私は、それは違うと思うのです。


人間は動物だ、


生きたいと思うのは


本能だ、


生きる目的?


冗談じゃない、


ただひたすら


生きるのみだ。
 



ここでちょっとクールダウンして、最近ニュースで話題になっている自殺問題を考えます。
 「馬鹿げた生命力」は、
高等な生物である人間であっても子犬であっても誰もが持っています。
ただ人間はそれを低俗なものだと無意識に考えて抑圧しているのだと思う。
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