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「いとしのヒナゴン」重松清

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どんな小説?と聞かれれば
私は、誤解を恐れずに「となりのトトロ」です、といいます。
(やっぱり誤解されるかな)

とにかく笑い転げながら読みました。何よりも夢があります。
過疎化の進む町に、30年ぶりに、「あの生き物」が現れたという噂が流れます。
それがヒナゴンでした。町の役所には、ヒナゴンを捜索する係りが設けられます。
しかし、ヒナゴンを目撃した人々に話を聞いてみると、曖昧で証拠が無い。

しだいにヒナゴンは、過疎化の町の人たちが
町を盛り上げるために勝手に作り上げた、でっちあげだと思われるようになっていきます。
ちなみに主人公の叔父は30年前、ヒナゴンを見たといって、周りから
ほら吹きのレッテルを貼られて死んでいきました。したがって、主人公(女性)にとって
ヒナゴン問題は、亡くなった叔父の汚名挽回をすることでもあったわけです。

学校の先生は子供たちに、もしヒナゴンがいるならどんな姿をしているか
想像して紙に書いてみろ、と言います。ヒナゴンの存在を絶対に信じていない
女の子がいて、彼女は先生にどれほどしつこく言われても、ヒナゴンを
想像した絵を書くことができませんでした。
ヒナゴンを通じて、子供の想像力不足についていろいろと考えさせられます。 

ラストは怒涛の急展開をみせます。感動しました!

かりにヒナゴンという生物が、やはりいなかったとしても
その存在を、ここまで強く信じきれる人たちが羨ましいのです。

「信じない」ということは、最初から諦めているので心が傷つきません。
しかし「信じる」ということは不安になったり、傷ついたり
泣きたくなったりする感情に近いと思う。
だからこそ、「信じる」ということは大切だと思う。


この小説のテーマは「信じる」ということだと思います。
迷いながらも、強く信じることを貫き通した人たちに、最後に奇跡が・・・・。

この話しは、広島県で起こった実話をベースにした物語です。
とにかく、ヒナゴンが本当にいるのかどうか??
それは最後まで読まないと分かりません。
どうぞ皆さん、この小説を読んで是非その結末を確かめてください!!