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「沈黙」 遠藤周作

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遠藤周作と三浦綾子は、キリスト教の信者です。
遠藤はカトリック、三浦はプロテスタントだという。
三浦が描く主人公の信者は、けっして神を疑わない。
自分の信仰を強く信じきっている人間ばかりです。
逆に遠藤の描く信者は、常に信仰に迷い続けている。

その代表作がこの「沈黙」でしょう。

沈黙とは、神さまが沈黙していることを意味します。

キリスト教の信者は、神さまがいると思って
いつも祈っているのだと思います。

しかし「沈黙」は

一度でも神さまが私たちの前に現れて助けてくれたでしょうか?

という問いかけが含まれているような気がします。

たとえば、人間は誰もが罪を持っています
だから辛い目にあう、それは試練である、試練のときこそ信仰が試されている
とキリスト教は教える。 
この「沈黙」では、もし信仰を捨てなかったら、仲間を殺す
と脅迫されるシーンがあります。そして主人公は信仰を捨て去る。

もし三浦綾子が同じ状況で、小説を描くならば
けっして信仰を捨てない主人公を描くと思う。
迷い続けて敗北するのが遠藤周作の文学だと思う。

私は遠藤の人間観に共感を覚える。