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「夜をゆく飛行機」 角田光代

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酒屋の4姉妹の物語。
次女の小説が有名な賞を受賞する。
彼女は自分の小説に「家族」を描いた。
家族は、自分たちのプライバシーが世間に知れ渡ってしまい困惑する。
長女はその小説がきっかけで離婚する。 
と、まあこんな話です。 


わたしは、作家になった次女と、角田光代本人が、だぶりました。 

角田文学の原点は「母親」だと思う。

(また大げさですが・・) 
(この作品には、母親はあまり関係ないですが・・)

この小説で言われているように、角田さんは自分の家族を「保存」するために
作家になったのかもしれません。 

柳美里や宮本輝も、「家族」を描いて、芥川賞を受賞しました。
これらの作家たちは、家族の「喜び」を描いたのではなくて「痛み」を描いた。
つまり、何が言いたいのかといえば・・・・

作家は、「痛み」を、小説によって昇華させることができるのです。 


角田は直木賞作家です。
しかし芥川賞にも2度ノミネートされている。
私はどちらかというと、彼女こそ、正当な純小説の書き手だと思うときがあります。
褒めればきりがありませんが、天才的な作家ですね。